独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

申し訳なさでいっぱいになっていると、須和は身体を屈め葵の耳元に唇を寄せた。

(わっ……近い……)

さっぱりとしたシトラスの香りが鼻先をかすめる。

「ここだけの話、葵ちゃんが産まれたばかりの時は、
利光さんの溺愛ぶりにうちの父親が心配してたくらいだったんだ」

「えっ……!? な、なんですかそれ」

「内緒にしてね。しかも、年賀状は君の写真付き」

「はい!?」

(全然意味が分からない……!!)

「何考えてるんだろ、お父さん……いつも怖いくせに」

恥ずかしくなって何も言えないでいると、須和さんは楽しげに笑う。

「君は愛されてるから傷つかないで。
利光さんも心の中では君に頑張って欲しいと思ってるはずだから。

……てことで、そろそろ僕は会社に戻るね、最中の詰め合わせ頂けるかな」

「あ、そうでした。申し訳ありません……!!」

葵は顔を真っ赤にしたまま、梱包が済んだ最中を須和に渡した。

「ありがとう葵ちゃん、また寄るね」

「はい、お待ちしてますっ……」

いつもの百点満点の笑顔はこの時ばかりは作れなかった。

なんとか口角を上げて、にこやかな顔で手を振る彼を見送ることしかできない。

(須和さん、すごく優しい人だったな……)

その容姿の美しさに圧倒はされたけれど、人柄は気さくで、優しかった。

須和さんは今度はいつ来店してくれるんだろう。
次会った時はもう少し話してみたいな。

淡く変わり映えしない日常の色が、少しだけ鮮やかさを増した気がした。