独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

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葵は大急ぎで掃除を済ませた後、須和を厨房までお通しし簡易イスに腰かけるように伝えた。

「……って、こんなイスに座ったら須和さんよけいに疲れさせちゃうか。
リラックスしてもらおうと思ったのに」

はぁ、と肩を落とすとクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「え?」

「葵ちゃん、心の声が全部漏れてる。俺はこれで平気だよ」

須和はニッコリと笑って、ジャケットを脱いだ。

「気遣ってくれてくれてありがとう。お言葉に甘えてリラックスさせてもらうよ」

「……っ」

彼は早々にネクタイを緩め、長い足をゆったりと組み始めた。
どこかその動作が色っぽく、葵の頬は真っ赤に染まる。

(私、こんなことで何を照れてるんだろう……)

須和は葵をチラリと見て、楽し気に微笑む。

「なんか、意外にお店で二人っきりになったことないね。このシチュエーション新鮮かも」

「は、はい。確かに……」

(私、もっと普通に振舞わなくちゃ)

顔を真っ赤にしたまま、葵はクルリと須和に背を向けた。

「須和さん、少し待っててください。私も普段着に着替えてきますから」

「うん、了解」

(須和さんは、私のことなんとも思ってないし、
こうやって意識することは、梨々香さんに悪いことなんだから……)