独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「須和さん……」

数カ月待ちわびていた人の登場に、雨音も聞こえなくなる。

彼は懐かしむように瞳を細め、葵に向かって優しく微笑んだ。

「お店終わってるのに、訪ねてごめんね。
今日は少し早めに終わったから一瞬でも顔出せたらって思ってきたんだけど……。
葵ちゃん、元気にしてた?」

「は、はい。私は元気でした。須和さんは?」

「うーん、俺はまぁまぁ。海外の仕事が多くてさすがに疲れてるかな」

「そうだったんですね」

(三カ月の間、ほとんど日本にいなかったのかな)

「……だから葵ちゃんの顔が見たくなって」

「!」

須和からこんな風に言われるのはこの二年間で初めてだ。

(なんで、私なんだろう。梨々香さんがいるのに?
……動揺しちゃダメ。これは社交辞令、ただ言ってみただけなんだから) 

そう頭で言い聞かせて何を言おうか迷っていると...…。

(あれ、須和さん、痩せた?)

もともと綺麗な顔つきだけど、パーツが以前に比べてはっきりしてる気がする。
それに、いつもの様に微笑んでいるかのようで、心なしか力がないように見える。

「じゃあ、片付けもあるだろうし俺はこれで……」

「あ、あの! 須和さん、もしお時間があるならお茶でも少し飲んで行かれますか?」

葵はとっさに声を上げていた。