(本当に悪いことをしたって思うのに、私はまだ須和さんに会いたいんだ……)
思うだけ無駄だと、分かっているのに……、
葵は長年抱いていた恋心を簡単に捨てることができなかった。
お父さんを守りたい、お店を守りたい、夢を叶えたい。
毎日そう自分に言い聞かせ、営業中は仕事に没頭する。
けれど、こうやって一人になった時に、須和の優しい笑顔を思い出してしまうのだ。
「はぁ……また暗くなってきた、やめよう。
須和さんは来ないよ、私」
(それに、今日は試供品を完成させるって決めてるんだから、早く掃除終わらせなくちゃ)
急いで床のモップをかけ、シャッターを半分にしてレジ閉めに取り掛かる。
一日の売り上げを数えながら、葵は思わず笑顔を浮かべた。
(……やっぱり、最近客足が増えてる。
私の商品を気に入ってくれる人も増えてきたし、もっと頑張りたいな)
自分のお菓子を認めてくれる人の存在は、
駆け出しの職人である葵にとって心の拠り所になっている。
今までは母の由紀子だけが、葵の商品を認めてくれた。
由紀子、だけが……。
『葵ちゃん、頑張ってね。応援してるから』
『君なら絶対に可能だと思うよ』
思うだけ無駄だと、分かっているのに……、
葵は長年抱いていた恋心を簡単に捨てることができなかった。
お父さんを守りたい、お店を守りたい、夢を叶えたい。
毎日そう自分に言い聞かせ、営業中は仕事に没頭する。
けれど、こうやって一人になった時に、須和の優しい笑顔を思い出してしまうのだ。
「はぁ……また暗くなってきた、やめよう。
須和さんは来ないよ、私」
(それに、今日は試供品を完成させるって決めてるんだから、早く掃除終わらせなくちゃ)
急いで床のモップをかけ、シャッターを半分にしてレジ閉めに取り掛かる。
一日の売り上げを数えながら、葵は思わず笑顔を浮かべた。
(……やっぱり、最近客足が増えてる。
私の商品を気に入ってくれる人も増えてきたし、もっと頑張りたいな)
自分のお菓子を認めてくれる人の存在は、
駆け出しの職人である葵にとって心の拠り所になっている。
今までは母の由紀子だけが、葵の商品を認めてくれた。
由紀子、だけが……。
『葵ちゃん、頑張ってね。応援してるから』
『君なら絶対に可能だと思うよ』

