独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

目の前の景色は色彩を失くし、重りが付いたように身体が動かない。

「君は若いんだし、年頃の男性と付き合うのがいいよ」

「……」

(そんなことは分かってる。けど、私が好きになってしまったのは……)

ギュッと目を瞑ると、利光が自分の名前を呼んでいるのが聞こえてきた。

「……私、戻ります」

「ああ、忙しいところ悪かったね。そういうことなんだ、頼むよ」

フッと表情を緩めた義則は、何事もなかったようにお茶をすすり始めた。

(須和さんは梨々香さんがいるのに、私とキスしたの……?
優しいから、私のこと可愛そうだと思って?)

『……葵ちゃんのことが大切だよ。それに、とっても可愛いと思う』

あの言葉は……?

ついこの間までとても近い存在だった須和が、今は果てしなく遠い。

鮮やかだった思い出たちが、少しずつ色褪せていくのを葵は感じていたーー。