独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「お得意さんにいくつか買って帰りたいんだ。運転手にもう一度戻って来るように伝えてくれ」

「分かった」

須和は背を向ける直前に、チラリと葵を見る。

「じゃ、お仕事頑張ってね」

「ありがとうございます。須和さんも……!」

須和は優しく微笑んで、梨々香と一緒に店を出ていった。

(いつも通りの笑顔だった......)

須和の香水の香りがまだ残っている。
胸が苦しくなるのに、愛おしい気持ちがふつふつと湧き上がってしまう。

(私、全然まだダメだ……)

葵が立ちすくんでいる間、利光は義則の注文を取っていた。

「……じゃあ、最中の詰め合わせを五つだな。
すぐ用意するからそこにかけて待っててくれるか」

「うん、分かったよ」

(いけない、ちゃんと仕事しなくちゃ)

イートインスペースに腰かけた義則に、葵は緑茶と茶菓子を持っていく。

「お熱いのでお気をつけて」

「ああ、ありがとう」

ニッコリと義則は葵に笑顔を向ける。
義則は歳はとっていようとも、
須和と同様に、その甘いマスクでとてもモテる人なんだろうと葵は察した。

「ねぇ、葵ちゃん」

「なんでしょうか?」