独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

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それから数日が経ち、葵は誕生日にあったことを忘れようと仕事に邁進していた。

「ありがとうございました! またのお越しをお待ちしております」

お客さんをお送りしたあと、葵は急いで厨房に戻りお菓子の梱包をする。

(夕方までには予約分を用意しておかないと!)

厨房には、父親の利光が黙々と和菓子の製作をしていて、他にパートの立花さんがいた。

「葵ちゃん、いつになく元気がいいわねぇ。何かいいことでもあった?」

「ふふっ、何もありませんよ~、今日は暖かいから体がよく動くのかもしれません」

本当はその逆で、気分が重いからあえて明るく振舞う。
そうしてなんとか自分を保とうとする。葵のいつものやり方だ。

あれから須和はお店にはやって来ていない。これからもやって来るのかどうかは分からない。

(まだどんな顔をして会ったらいいのか分からないから、よかった……)

「……そういえば、柾は元気だったか?」

ふいに利光が訪ねてきて、心臓がドクッと嫌な音を立てる。
利光は須和と食事をしに行ったことを知っていた。

「う、うん、相変わらずだったよ。次いつ来るかは言ってなかったけど」

「そうか」