独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「……っ、ん......」

唇が離れ、淡いキスの余韻に葵は吐息を漏らす。
自分を見つめる須和の瞳が切なげに揺れて、胸が締め付けられた。

「……葵ちゃんのことが大切だよ。それに、とっても可愛いとも思う」

吐息が唇に触れ合う距離で、須和が囁く。
息を呑むと、慈しむような口づけが二度、三度と落ちてきた。

(どうして……そんな甘いキスをするの……?)

「ん……す、須和さ」

深さが一層増していきそうになり、葵はとっさに名前を呼んだ。

「……葵ちゃんが思ってるほど、僕はいい人じゃないよ」

「え……?」

須和は唇を離し、目を(みは)る葵に微笑みかける。

「君の前では優しい自分でいられる。けど、本来の僕は全く違う」

「……っ」

「僕のことで君が傷つくのを見たくない。……だから、見守ることしかできない。ごめんね」