独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「それで、諦めますから……」

消え入るような声で葵が伝えると、須和は口をつぐんだ。

「……」

(……言ってしまった)

ドクドクと鼓膜にまで脈を打つ音が聞こえ、唇が震える。
頭では、須和が店にやって来てくれる姿が再生される……。

(常連さんとしてだけど、この二年間いい関係を保ていて、幸せだった。
こうやって食事もできて、誕生日も祝ってもらったのに。
こんな風に関係が壊れてしまうことをして本当に良かったのかな)

後悔の念が後からやって来て、葵は小さく息を吐いた。

(……ずっとどこかで期待してたんだ。大人になったら、
一人の女性として、須和さんも私のこと見てくれるかもって。
でも、それは私が勝手に想っていたこと……)

「須和さん、ごめんなさい。やっぱり今のは……」

(この関係は終わらせたくない)

言葉にならなくて、目で訴える葵の頬を……須和はそっと引き寄せた。
目と鼻の先で向けられる熱い視線に、葵の頬はさらに熱を持つ。

「須和さん……」

「一回でいいの? キス」

「!」

艶やかな声で囁かれて、心臓が跳ねる。
瞬き一つしない葵の唇を、須和は奪ったーー。