とそのタイミングで、料理が運ばれてきてしまった。
須和は葵から視線を外し、何事もなかったようにウェイトレスに「ありがとう」と言っている。

(何が寂しいんだろう……須和さんからそんな言葉が出てくるなんて)

「さ、食べよう」

「は、はい」

葵はふと頭に浮かんだ疑問を頭の端に追いやり、目の前の須和と過ごす時間を楽しもうと気持ちを切り替えた。