独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

葵は少し悩んだ後「多分、大丈夫です」と答えた。

須和は葵の返事に微笑み、彼女の目尻に溜まっていた涙を指先で拭い取る。

「じゃあ、あと少しだけ俺に付き合って」

「……須和さん?」

「急ごう」

須和は葵の手を握り、足早に店をあとにする。
そのままエレベーターに乗り込むと、須和は屋上のボタンを押した。

(お母さんの近くにって、もっと高い屋上から景色を見せてくれることだったんだ)

ここまで自分に優しくしてくれる須和に、胸が熱くなる。

(それにしても……)

視線を落とすと、自分の手に、須和の長い指が絡んでいる。
彼の身体が離れた時は、少々名残惜しく思っていた葵だったが、
こうやって手を握られていると、抱きしめられた延長線上にあるようで嬉しかった。

(この時間がずっと続けばいいのに)

欲張りな感情まで芽生えた時、上昇していたエレベーターがゆっくりと止まった。
扉が開かれた瞬間、中に涼しい風が吹き込んできて葵の髪をなびかせる。

「須和さん……これは……」