独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「……君が由紀子さんのお葬式の時、涙を耐えていたのが見ていてとても辛かったんだ」

「!」

「その後も、君がちゃんと悲しみを発散できているか心配だった。
一人でずっと抱え込んでいるんじゃないかって。
……どうしたら君を救ってあげれるだろうと真剣に考えたら、
なんでもいいから君の話を聞いてあげようって思ったんだ」

「……っ」

自分が思っていたよりも、ずっと須和さんは私のことを見ていてくれた――。
葵は胸の奥から熱いものが込み上げてきて、とっさに奥歯を噛んだ。

(ここで泣いちゃダメだ)

「由紀子さんも言っていたよ、君は甘えるのが下手だって。
俺もこの四カ月君を見てきてよく分かった」

須和はそう告げると、口をつぐむ葵の隣に腰かける。

「葵ちゃん、抱きしめていい?」

「えっ……」

反射的に顔を上げた拍子に、瞳に溜まっていた涙がポロリと一粒落ちる。

同時に、葵は背中を抱き寄せられ須和の広い胸の中へと吸い込まれていった。