独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む


葵は息を吸い込み、お店で見せるような明るい笑顔を須和に向けた。

「私は須和さんたちのおかげで、この通り元気です!
お母さんは小さい頃から体が弱かったし、ずっと覚悟はしていましたから」

極力明るく言ったつもりだったが、指先が小刻みに震えている。
須和に気づかれないように葵は拳を握ってテーブルの下に隠した。

「だから、お母さんが須和さんに病院で何を言ったのか分かりませんが、私のことは気にしなくて平気……」

「葵ちゃんは嘘が下手だね」

須和は葵の言葉を遮り、熱い眼差しを向ける。
切れ長の彼の瞳が、いつもより一層鋭く感じた。

「君はいい子だ、でもいい子過ぎるよ。
……辛くて仕方がない時くらい、ずるくなっていい、人に甘えてもいいんだよ?」

「須和さん……」

須和の言葉に心が打たれ、震える。
何も言えないでいると、須和は小さく息を吐いた。

「確かに、由紀子さんは俺に君が困ったら助けてくれと言っていた。
君を気にかけていたのは、それも理由の一つだよ。でも……」