独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「あの……須和さん、今日で最後で大丈夫ですよ」

「え?」

葵は須和の瞳を真っ直ぐ見つめて口に出した。
やっと言えたというのに、心は軽くなるどころかズキズキと痛みを生じる。口でそう言っても、心が拒否しているようだった。

(でも、言わなくちゃ)

「……須和さんがお母さんが死んで、私やお父さんのことを気にかけてくれるのが、本当に嬉しかったです。
あなたはいつも優しくて、気さくで……話してると楽しいし、一瞬でも辛いことを忘れられました」

須和は何も言わずに話を聞いてくれている。
その表情は見たこともないくらい真剣で、何を思っているか葵には分からなかった。

「でも……須和さんは社長さんで仕事もきっとすごく忙しいですよね。
お店に無理してきてもらうのが、最近申し訳ないなって思っていて……今日も、せっかくのお休みなのに」

「……そうか」

須和は一言呟き、そのまま口をつぐんだ。
張り詰めた空気が二人を包み、沈黙が異様なほど静かに感じる。

(須和さんを嫌な気持ちにさせたかもしれない。
少しでも話したりして楽になれたっていうことだけでも、伝わって欲しいんだけど……)