独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「新鮮、ですか?」

「うん。君みたいな純粋な子には初めて出会った。
なんてことないことにも驚いたり、笑ったり、照れたり。見てて楽しいよ」

ワインに口づけながら、大人な笑みを浮かべる須和に葵はどこか恥ずかしい気持ちなってくる。
自分が持っているのはノンカクテルだ。

「そうかな……私は全然純粋ではないと思いますけど」

「なんで? 思い当たるフシがあるとか?」

「それは……」

(お母さんが亡くなってからの四カ月、須和さんに甘えてきた自覚があるから)

由紀子が亡くなるまでは、秘書の加瀬がお店にお菓子を取りにきてくれた。

けれど、由紀子が須和に『葵を頼む』と亡くなる直前に言ったため、須和はその言葉を守るように葵を気にして足繁く店に通った。今日もこの延長線なのだ。

(たいして知らない娘を守るだなんて、迷惑以外の何物でもないはずなのに……)