独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

須和は「着いてからのお楽しみ」と言う。
再び車に乗り、しばらく走っていると、窓の外に見えてきたのは見慣れた高層ビルで……。

「私、このビル見たことあります」

「そうだよね、お店からも見えるし。また近場に戻ってきちゃったけど、
本当は今日、このビルに一番連れてきたかったんだ」

「そうなんですか?」

(確か六十階建てで都内で一番おっきいビルって、常連さんが言ってたような)

ビルに併設されている駐車場に停めると、須和は葵に一緒についてくるように告げた。
入口に入るなり、エントランスに立っていた警備員さんが須和に向かって「おかえりなさいませ」と言っているのを聞き、葵は不思議に思う。

「須和さんは、こちらのビルはよく来るんですか?」

「うん、そうなんだ……あ、ちょうどエレベーターが来たね。乗ろう」

「はい……!」

(今どこに向かってるんだろう)

どうやら須和に続いて乗り込んだエレベーターは、高層フロアに直接繋がるエレベーターらしかった。

勢いよく、十階、ニ十階……四十階と昇っていき、五十四階でエレベーターが停止する。