独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

「それじゃ、またあとで。おじさんも葵ちゃんも残りの時間頑張ってね」

須和はそう言い残し、店を出ていった。

「……」

(須和さんと食事ってすっごく嬉しいけど、お父さん許してくれるかな)

「……葵」

利光に名前を呼ばれ、葵は遠慮がちに視線を向ける。

「あ、お父さん、その……」

「柾に恥をかかせないような最低限のマナーは守れ。もう十八だ」

「うん、気をつける」

利光はそれだけ言った後、クルリと背を向け、暖簾の奥へと消えていった。
もっと文句を言われると思っていた葵は、その反応に少し拍子抜けする。

(お父さんも須和さんだからあんな反応なのかな。
でも、よかった。これで何も気にせず食事に行けるんだ)

憧れだった須和との約束は楽しみな反面、緊張で心が落ち着かなくなる。

どこか浮足立った気持ちのまま、葵は営業時間を終えた。