独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

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「社長、今朝例の雑誌を置いておきましたので」

「ああ、ありがとう」

車の窓の外は穏やかな青空が広がっている。

もう春が来るのかーー。

須和が羽柴一族との縁を完全に断ち切ることができ、
父親の義則が会長の座から追い出すことができたのは、葵がシンガポールに発って既に三年が経とうとしていたころだった。

須和自身、ここまで時間がかかるとは思っていなかった。
準備が整った今。当初では、葵を日本に戻すタイミング...…

だった(・・・)



「ミカエル・ド・ニューとコラボ……」

須和は社長室に戻るなり、加瀬が用意してくれていた経済紙をめくる。
なんと巻頭は『和菓子職人・天馬葵』だ。

紙面の中の葵は群青色の着物に身を包み、薄ピンクの唇で優雅に笑っている。