独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

(葵の全てが愛おしい。この指一本一本まで全部……)

葵の華奢な身体を、須和は一晩中抱きつくした。
滑らかな白い肌には所々に赤い花が咲き、須和の胸の内にある独占欲を象徴する。


「柾さん。好きです」

「葵……」

既にカーテンの隙間から白い光が部屋に差し込んでいる。

ベッドで横たわる彼女の瞳は熱に濡れ……まだ足りないとばかりに揺れるーー。

その姿に、須和はグラリと眩暈を起した。

(こんな葵を置いておけるわけない。
いつ他の男に取られるかわかったもんじゃない……)

自分がこうなるように仕向けたというのに、心が葵を求める。
日本とシンガポールという距離に、これからも耐え続けないといけないなんて。
須和は気が狂う思いで再び葵に口づけたーー。



「すー、すー」

寝息を立てる葵を腕に抱きながら、須和は彼女の揺れる睫毛を見つめる。


(僕は本当にバカだ。ずっと自分の手の内に葵にいて欲しくて、あらゆるものに嫉妬していた……)

天馬堂が閉店する時、須和は誓った。
葵は自分が守ると。
葵は自分が幸せにすると……。

それが、彼女を愛せば愛すほど強い独占欲となり、
知らない内に自分自身をむしばんで、葵の幸せを願わないようになっていた。

(ごめんね、本当にごめん……君を最後まで応援する。見守るから)

須和は葵の小さな手に、そっと唇を寄せる。


「愛してるよ、葵……」