独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

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「いらっしゃいませ。こちらはご自宅用でよろしいですか?」

「ええ、そのままで結構よ」

「かしこまりました」

葵はいつもの様に、朝一番の開店から精力的に接客を行っていた。

もうすぐ盆が近いので、普段以上に来客が多い。
今日で最中の詰め合わせをいくつ包装したか覚えていないくらいだ。

「葵ちゃん、先に上がらせてもらうね」
「立花さん、お疲れ様です。明日もよろしくお願いします」
「はーい、よろしくね!」

母の由紀子が亡くなった直後、葵と利光は何も喉が通らないくらい意気消沈していた。
葬儀がすべて終わり、お店を再開した際にもその空気は流れていたのだが、
立花さんをはじめとするパートさんの明るい接客で、少しずつだが以前のような活気を取り戻していた。

「……ふぅ、疲れたな。もう14時か」

一番客足が落ち着く時間で、つかの間の休息をとる。
静まり返った店内を眺めていると、ふいに母の笑顔が浮かんできた。