独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

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須和は自分の肩に寄りかかって寝息を立てる葵に、小さく微笑んだ。

(それにしても、さっきの茶番は一体なんだったんだろう)

バカげた状況、バカげた話に、笑いが込み上げてくる。

わざわざミッシェルやニッキーを使って、回りくどいことをして。
葵をシンガポールに飛ばすなんて……想像のはるか斜めをいく発想だ。

自分はあのくだらない人間たちに、いつまで付き合わなくちゃいけないのだろう。
須和は思った。

(このまま黙っていたら、羽柴も親父も付け上がったままで、葵と普通の生活が送れないのかもしれない。それは絶対に許せない)

今まで生きてきて、唯一欲したものが葵だ。
葵以外何もいらない。
葵に嫌われさえしなければ、正直なんだっていい。


(……確かに立が言うように、僕は執念深いんだな)

あの時は全く意味が分からなかったけれど、今ならよく分かる。

須和の気持ちは決まっていた。
この茶番に思いっきり乗っかり、葵と一緒に幸せになることを……。