独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

葵も、須和から梨々香に自分たちが付き合っていることを伝えたと聞いていた。

その時に、須和が梨々香に恋人のフリをしてもらったこと、傷つけたことを謝罪したとも聞いている。

（もしかしたら、本当に梨々香さんは私たちのことを納得して、この場にいるのかもしれない）

「……分かりました。もうあの件のことは気にしていないので、今日はよろしくお願いします」

「葵！？」

須和はとっさに葵の腕を掴んだ。
驚いて見上げると、彼は焦りを浮かべた表情でこちらを見つめている。

（柾さん……？）

「よかった、葵さんが許して下さって安心したわ。今日は楽しみましょう」

梨々香はにこやかに笑うと、ほっそりとした白い手を葵に差し出す。
少々気まずさはあったが、葵は彼女の手を弱々しく握った。

（もしかしたら何もないかもしれない。本当にただ遊びに来ただけかも）

そう考える葵に対し、須和の表情はどんどん険しくなっていくーー。