独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

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そしてとうとう、ミッシェルと会う日がやって来た。

「よかった、髪の毛は乱れてない」

午後八時五十分ーー。
SUWAビルの二階にある化粧室で、葵はひとり呟く。

今日のスケジュールはハードだった。
午前中に手作りした和菓子を丁寧に包装し、
午後からは利光の見舞いを終え、須和の家に戻り何倍の時間をかけて身なりを整えた。

(柾さんの彼女として会うんだから、気を引き締めなくちゃ)

須和は仕事があるため、このビルの五十五階にある会員制VIPバーで現地集合になっている。

(緊張するけど、すごく気さくな女性って柾さんが言ってたから)

そう言い聞かせながら、高層階に繋がるエレベーターに乗るためにフロアで待っていると……。
背後からヒールを鳴らす足音が聞こえてきた。


「あら、葵さんじゃないですか。一瞬誰だか分からなかったわ」