独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

するとふいに、由紀子は写真を撮るのをやめた。

「そうだわ、葵が持って来てくれた花束と一緒に写真を撮ったらもっと素敵になりそう。
花瓶に生けてきてくれないかしら?」

「そうだね、じゃあちょっと出てくる」

「お願い」

テーブルに置いてあった花束を持ち、葵は席を立つ。
病室のドアを開けるのと同時に、トンッと厚い胸板に顔を弾かれた。

「きゃっ……!!」

(た、倒れる……!)

次の瞬間、逞しい腕に引き寄せられ、危機一髪、後ろに転ぶことはなかった。
一瞬、フワリと知っている香りを感じる。

(この匂いどこかで……)

「あれ、葵ちゃんだ」

「須和さん……!?」

(ど、どうしてここに!?)

見上げると、数カ月間待てど暮らせど店に現れなかった須和が、自分を見つめていた。

予期せぬ事態に、葵の心臓は早鐘を打つ。
仕事の合間だろうか、須和はこの日もきちんとスーツを着こなし、髪の毛を綺麗にセットしていた。


「あら、二人とも会ったことがあったの?」

背後から母の声が聞こえ、葵はハッとした。

「そ、そう。前に一度だけ顔を合わせたことがあって。
……須和さんは、お母さんとも知り合いだったんですか?」

「うん、由紀子さんにも昔はよくしてもらっていたから。
時々だけど、顔を見に来てるんだ」

「そうだったんですね……」

須和に微笑みかけられて、葵はぎこちなく視線を逸らす。するとその様子を見ていた由紀子は何かを察したようで、ニヤニヤと笑い始めた。