須和と葵は上階にある寿司レストランに到着すると、個室で向かい合って腰を下ろした。
黒塗りの壁に一本の梅の花が飾られ、ここにも高級感を感じる。
「ここなら気兼ねなく話せる。さっきはうちの社員たちがごめんね」
「いえ、社長が女性と歩いてたらみんな驚くのも無理はないです。私の方こそあんまり考えないで、提案しちゃったから」
申し訳ないと思いながらも、須和が長年頑張ってきたのを知っているからこそ、葵は自分の目でこのテナント施設を見れて嬉しい気持ちの方が大きかった。
他愛のない話をしながら、注文していたお寿司を口に運ぶ。
「加瀬さんが言ってたんですけど、須和さん海外に行ってたんですよね? 最近まで」
「ああ、聞いてたんだ。そうだよ、イタリアに出張に行ってたんだけど」
須和はそう言うと、少々気まずそうに笑う。
「天馬堂が店を閉めるって聞いて、飛んできたよ」
「えっ! と……それは……」
(私に会いにくるためだけに……?)
「正直、必死すぎて気づいたら飛行機に乗ってた。そんなに僕は葵ちゃんに会えなくなるのが嫌なのかって、その時思い知ったよ」
「須和さん……」
「飛行機の中でもずっと君のことを考えてた。会えなかったら? 会えても拒否されたらって……恥ずかしいよな」
照れて視線を逸らす須和の姿に、葵の頬も赤く染まる。
黒塗りの壁に一本の梅の花が飾られ、ここにも高級感を感じる。
「ここなら気兼ねなく話せる。さっきはうちの社員たちがごめんね」
「いえ、社長が女性と歩いてたらみんな驚くのも無理はないです。私の方こそあんまり考えないで、提案しちゃったから」
申し訳ないと思いながらも、須和が長年頑張ってきたのを知っているからこそ、葵は自分の目でこのテナント施設を見れて嬉しい気持ちの方が大きかった。
他愛のない話をしながら、注文していたお寿司を口に運ぶ。
「加瀬さんが言ってたんですけど、須和さん海外に行ってたんですよね? 最近まで」
「ああ、聞いてたんだ。そうだよ、イタリアに出張に行ってたんだけど」
須和はそう言うと、少々気まずそうに笑う。
「天馬堂が店を閉めるって聞いて、飛んできたよ」
「えっ! と……それは……」
(私に会いにくるためだけに……?)
「正直、必死すぎて気づいたら飛行機に乗ってた。そんなに僕は葵ちゃんに会えなくなるのが嫌なのかって、その時思い知ったよ」
「須和さん……」
「飛行機の中でもずっと君のことを考えてた。会えなかったら? 会えても拒否されたらって……恥ずかしいよな」
照れて視線を逸らす須和の姿に、葵の頬も赤く染まる。

