「承諾いただきました。
それで……なんですが、先ほど梨々香様直々にレジデンスの入居希望を頂きました。
一応ご報告です」
「……それは困ったな」
須和は内ポケットに忍ばせた電子タバコを手に取り、口にくわえた。
(これから会議が二件、その後は会食。今日も帰宅は深夜か)
社長に就任以降、今最も大きなプロジェクトが進行している。
不動産産業最大手『SUWA第一不動産』と、
ファッション業界最大手『ベリー株式会社』がタッグを組み、
東京を代表する快適かつファッショナブルな複合タウン『ベリーヒルズビレッジ』を開発するというものだ。
自社オフィスを囲むようにして、総合病院、高所得者向けレジデンス、ショッピングモールが設置される。既に来週には工事に着手し、完成は再来春予定だ。
(天馬堂にはこの機会に是非出店を検討してもらいたかったが、今は由紀子さん第一優先だろう……諦めるしかないのか)
「社長、到着しました」
「ああ、ご苦労様」
ドアが自動に開け放たれ、須和は車から出た。
チラリと上を見上げると、巨大な高層ビルが目の前に立ちはだかる。
(さ、休憩はおしまいだ。気持ちを切り替えよう)
“普通”の自分に戻れる唯一の場所『天馬堂』。
これからもずっと変わらずにあり続けて欲しいと、須和は密かに思っていたのだった。
それで……なんですが、先ほど梨々香様直々にレジデンスの入居希望を頂きました。
一応ご報告です」
「……それは困ったな」
須和は内ポケットに忍ばせた電子タバコを手に取り、口にくわえた。
(これから会議が二件、その後は会食。今日も帰宅は深夜か)
社長に就任以降、今最も大きなプロジェクトが進行している。
不動産産業最大手『SUWA第一不動産』と、
ファッション業界最大手『ベリー株式会社』がタッグを組み、
東京を代表する快適かつファッショナブルな複合タウン『ベリーヒルズビレッジ』を開発するというものだ。
自社オフィスを囲むようにして、総合病院、高所得者向けレジデンス、ショッピングモールが設置される。既に来週には工事に着手し、完成は再来春予定だ。
(天馬堂にはこの機会に是非出店を検討してもらいたかったが、今は由紀子さん第一優先だろう……諦めるしかないのか)
「社長、到着しました」
「ああ、ご苦労様」
ドアが自動に開け放たれ、須和は車から出た。
チラリと上を見上げると、巨大な高層ビルが目の前に立ちはだかる。
(さ、休憩はおしまいだ。気持ちを切り替えよう)
“普通”の自分に戻れる唯一の場所『天馬堂』。
これからもずっと変わらずにあり続けて欲しいと、須和は密かに思っていたのだった。

