____5年前




「おっせーぞ」


「ちょっと待ってよ倫也!」




小学5年生の俺ら。


俺たちはただの良い友達。



でも俺がその関係をもどかしく思ってたことを、

桃は知らないだろうな…。






「あー! あいつらまた一緒に帰ってるー!」

「ヒューヒュー」



小学5年生にもなれば立派な高学年。

思春期というものに入って、色んなことへの関心がある年頃だ。



家も近くて比較的仲の良かった俺と桃。


そんな俺らは冷やかしを受ける標的だった。




「もーそんなんじゃないからね!?」


桃が笑いながらそう答える。


そりゃただの友達だから当たり前だよな。



でもな桃? 俺はその時結構まんざらでもない顔してたんだぜ…



あいつら付き合ってんの?って噂を聞くと少し嬉しかった。


俺のものだと思われてるんだって、5年生ながらにそんなこと考えてたな。