麗しの彼は、妻に恋をする

三十分くらいしっかりと揉んであげようと思ったのに、五分もたたないうちに彼は、「ここに座って」と自分の隣の席をポンポンと叩く。

隣に座ると、柚希の肩を抱いた彼は、「でも、料理は明日にしよう」と言ながらテレビをつけて、映画のチャンネルに合わせた。

「今日はゆっくりしようよ」

好きな映画を選んでと柚希にリモコンを渡し、席を立った彼はダイニングへと向かう。

本音を言えば動きたくもないし、出掛けたくもなかった。

昨夜に引き続きの今朝もというハードな経験に、体も心も疲れている。
本当はまだベッドでごろごろとしていたいくらいだ。

――もしかして、彼はそれを気遣ってくれたの?

そうかもしれないと思いながらそっと振り返ると、彼はコーヒーを淹れているようだった。

私がやりますと声をかけたほうがいいのかと悩みながらも、チャンネルと回す。
ドラマ、アクション、恋愛とジャンルを移動して一度は止めてみた。

ラブラブの新婚カップルが見るものと言えば、甘いラブストーリーが普通だろう。