麗しの彼は、妻に恋をする

「ありがとう。もし来てもらえるならここが近い。受付の女性に預けておいてもらえるかな。郵送の場合もこの住所で」

「はい。わかりました」

「では、これはお願い料金。なにか美味しいものでも食べて」

差し出されたのは一万円である。

「えっ?」

思わず受け取り茫然としていると、片隅に置いてあった陶歴書を一枚手に取りヒラヒラさせながら「これもらっていくね」と微笑みを残し、男性は颯爽と店を出て行った。