麗しの彼は、妻に恋をする

ベリーヒルズに現れて『パトロン』と言い出した時には、その言葉もさることながら、雰囲気まで変わっていたことにも驚いた。

からかい半分重ねた唇は、予想通り無防備で、摘みたての果実のように新鮮な味がした。

あれではそこら辺にうじゃうじゃいる野獣に目を付けられて、無残に刈り取られてしまうだろう。

少し脅かしておいたから、今後あんな風にパトロン探しをすることはないだろうが――。

首筋から香った、優しい匂いを思い出す。

「来るかな?」

もし来たら、愛人とはどういうものなのか、教えてあげようか。

そう思いながらクスッと笑い、和葵はカップにキスをした。