まずはこの器を預けなければ。

慌ててキョロキョロと見渡し、見つけたレジカウンターには綺麗な女性がいた。

「すみません。あ、あの」

なにをどう言っていいのかよくわからず、オタオタしながらとりあえず渡された名刺を見せた。

「あの。先程、この方が私の個展にいらっしゃって。お、お買い上げいただいた品物を、お持ちしました」

「そうですか。お預かりしますね」

大事にしてもらうんだよ。と紙袋の中の器たちに念を送り、領収証と一緒に女性に渡す。

さあ、これで本来の使命は終わりだが、更に重要な目的も果たさなければならない。

「あの、で、できれば、直接、お礼を、申し上げたいのですが、冬木和葵さまは?」

「それが、冬木はまだ戻っていないのですよ。もうそろそろ来るとは思うのですが。お待ちになりますか?」

「はい! あの、それまで見学していても、いいですか?」

「ええ、もちろん。右手の奥で個展も開催しておりますのでどうぞ」