感心しながらそんなことを思いつつ、柚希は冬木陶苑へとテクテク歩いた。
スマートホンのGPSのおかげで、目的の店はすぐに見つかった。
『冬木陶苑』という銀色の文字がキラリと光る。
「ここね」
なんの曇りもない、うっかり触ったらばっちり指紋が残るであろう大きなガラス扉の向こう側に、ひとつひとつゆったりと間隔を空けて展示している陶器が見える。抹茶碗、花器、大皿、片口……。
「うわぁ」
柚希は吸い寄せられるように店内に入った。
いらっしゃいませという言葉は柚希の耳には届かなかっただろう。全ての神経が、奥に飾られた大きな花器に釘付けになる。
深い紅色をした美しい花器が鎮座していた。
――なんてきれいな造形だろう。
ひとしりきり花器を見つめたところで左右を振り返れば、器のひとつひとつがスポットライトを浴びて輝いていた。
こんな風に扱ってもらって、この子たち幸せだなぁ。としみじみ思ううち、客同士の話し声にハッとして、ようやく思い出した。
ここに来た目的!
見学は二の次だ。
スマートホンのGPSのおかげで、目的の店はすぐに見つかった。
『冬木陶苑』という銀色の文字がキラリと光る。
「ここね」
なんの曇りもない、うっかり触ったらばっちり指紋が残るであろう大きなガラス扉の向こう側に、ひとつひとつゆったりと間隔を空けて展示している陶器が見える。抹茶碗、花器、大皿、片口……。
「うわぁ」
柚希は吸い寄せられるように店内に入った。
いらっしゃいませという言葉は柚希の耳には届かなかっただろう。全ての神経が、奥に飾られた大きな花器に釘付けになる。
深い紅色をした美しい花器が鎮座していた。
――なんてきれいな造形だろう。
ひとしりきり花器を見つめたところで左右を振り返れば、器のひとつひとつがスポットライトを浴びて輝いていた。
こんな風に扱ってもらって、この子たち幸せだなぁ。としみじみ思ううち、客同士の話し声にハッとして、ようやく思い出した。
ここに来た目的!
見学は二の次だ。



