荷物は粗方まとめ終えた。

「あとは?」

「これで最後です。簡単にお掃除しちゃいます」

了解と言って芳生は段ボールを持って軽トラックに向う。

これでいよいよ笠間へ引っ越しだ。

ガス窯をどうするかはまだ決めかねているが、いずれにしろ冬は使わない。ほとぼりが冷めた頃にまた考えることにした。

家はまだ当分借りておくつもりだし、工房に鍵をかけておけば問題ないだろう。

そう思いながら柚希はシャッターを下ろす。


笠間も陶芸の町でもとは信楽焼の流れを組んでいる。
笠間から益子へと広がったので歴史は笠間焼のほうが古く『かさましこ』として日本遺産に登録されたくらいないので、場所もそう遠くはなく、ここから車で四十分くらいのところである。
そこに、陶芸が出来る空き家を芳生が探してくれた。

信楽や常滑に美濃、日本には陶芸の町は他にも沢山あるので、どこに引っ越したらいいかは悩んだ。
でも。