もうすぐ十二月。

柚希にとって冬は、陶芸はお休みの季節である。

凍りついた粘土は迂闊に触れないし、工房の暖房代も馬鹿にならない。
毎年この季節になると祖母の家で過ごす時間が多くなり、そのまま年末年始を祖母と共に迎えている。

和葵にちらりとその話をしたら、それなら毎日でもレジデンスに来れるねと喜んだ。

そう。
彼は喜んでくれたのだ。

ラララ♪
歌を歌いながら、雑巾を持つ手もルンルンと弾む。

少しずつ工房を片付けて、冬の間しばらくは、彼の部屋に移り住む予定だ。

妻としての腹も決まったし、抹茶碗騒動をきっかけに、言いたいことを言えるようにもなった。

嫌われる覚悟で色んな我が侭を言ってみたけれど、彼との距離は遠くなるどころか近くなる一方で、
部屋でバスローブのままゴロゴロしていても、家政婦さんに休んでもらって代わりに家事をしてみても、彼はちっとも嫌な顔をしない。