「柚希さんだって、届けに行ったら冬木陶苑の中を見てみたいでしょう? 人間国宝とか一流の陶芸家さんたちの作品見たいでしょう?」

「それは、まぁ」

「その粘土と泥のついたスニーカーに、膝がポッコリ出たパンツに、変な柄のTシャツじゃ、届けに行ったって玄関払いですよ? 店の中、見れませんよ?

「ええ? そ、そんなに」
――私って酷いの?

「ちょっと待ってください。私がすぐその先の店で柚希さんの服を買ってきますから」

――あ、待って。
その一万円でラーメン食べたいよぉ。

という心の叫び虚しく、十分で戻るから留守番するようにと言い残して、マルちゃんは柚希のなけなしの一万円を握り締めてどこかへ行ってしまった。



そしてきっかり十分後。