「うわー! すっごい! ちょっとちょっと、どうするんですか? どうします? 柚希さん。写真で見てもすっごいイケメン!」

マルちゃんはすっかり興奮している。
「とにかく梱包しましょう。お客さんが来ないうちに」

「うんうん。よろしく」

丁寧に包装を始めたマルちゃんは、跳ねるようにはやしたてる。
「よかったですね!柚希さん、初日にしてパトロンゲットできるかもですよ!
 華子さんには私から言っておきますから、早速出掛ける準備してください」

「えっ、や、やっぱり行ったほうがいいの? 宅配じゃ」

「なに言ってるんですかっ。ここでしっかりと捕まえなくちゃ」

「う、うん。……そう、だよね。わかった、行ってくるよ。
 ベリーヒルズ店のほうって言ってたけど、今から行けば」

「え? ベリーヒルズですって?」

「うん。そう、ベリーヒルズ店」

「ちょっとちょっと柚希さん、わかっています? ベリーヒルズって、お金持ちしかいないところですよ?」

「へえー。そうなの」