この声で、キミに「好き」と伝えたい。

さっきステージにも立った。


それがあたしの順番だ。


そこで歌声を披露できなかった時点で、あたしの番は終わっている。

後回しもなにもない。


「このコンクールの審査員長、ママの知り合いだから、きっとママのお願いを聞いてくれるからっ」


…待って、ママ。

そんなのは…ズルだよ。


あたしは、そんなこと望んでない。

そんなことしてまで、もう一度ステージに立ちたいわけではない。