天良もそう言い、晴子も「母親失格ね」と冷ややかな目を向ける。ほのかは肩を震わせながら俯いた。その様子を見ながら碧子は訊ねる。

「では、ほのかさん以外の方にいくつか質問をさせてください。理央くんの好きな食べ物は何ですか?」

「えっ?」

「そ、それは……」

碧子の問いに義彦たちは固まり、考えて始めるが答えられる人はいない。碧子は次々と質問をぶつける。

「理央くんはどれくらい毎日眠っていましたか?」

「好きなテレビ番組は何でしたか?」

「将来の夢は何になりたいと言っていましたか?」

三人は一つも答えることができない。その様子を見てゼルダが馬鹿にしたように「自分の孫や息子のことなのに、何一つ知らないんだ」と言い、「うるさい!!」と天良が顔を真っ赤にしながら言った。

「俺と父さんは仕事が忙しいんだ!子どもの世話は母親のすることだろ!」

「そうよ!我が家に嫁いだ以上、家事と育児は全て嫁の仕事です!我が家のしきたりを他人に言われる筋合いはない!」