「天良さんは、休日はこのカフェに朝から夕方までいることが多かったらしい。気になった店員が理由を訊いたら、子どもが一日中暴れ回っていてうるさいからと答えていたらしいんだ」

「うわぁ……。育児する気ゼロじゃないですか。自分の子どもなのに……」

圭介がありえないと言いたげな目をし、蘭は「他に何かわかったことはありますか?」と訊ねる。桜木刑事はスーツと同じ黒い手帳のページをめくり、「これはあくまで可能性の話なんだけど、一つ情報をもらったよ」と真剣な顔を向けた。

「理央くんの体の傷の数が普通じゃなかったから、三国家に児童相談所の人が行ったことがあったそうだ。その時、理央くんを見た児童相談所の人から聞いた話なんだけどーーー」

桜木刑事の話したことに、圭介は首を傾げていた。しかし、蘭は大きく目を見開く。それならば落ち着きがないという理央の性格もわかるのだ。

「桜木刑事、ありがとうございます。これで全てのパーツが揃いました」

蘭はそう言い、桜木刑事と圭介を見つめた。