ぽつぽつと雨粒が窓を叩くのに気付いて顔を上げると、窓枠に切り取られた四角い空が灰色に濁っていた。

やばいね、早く行かなきゃ、と投げかけると、先輩もベッドに腰かけたまま顔を上げて空を見ていた。




今日は近所の本屋に購読しているファッション誌が入荷される日。

机の上の貯金箱を手に取り、底のゴム蓋に爪を引っ掛けると、中から百円玉がジャラリと音を立ててこぼれ出た。


指で広げながら数え、足りることを確認して財布に移した。
毎月こうしているので、いつまでもこの貯金箱が重たくなることはない。



ショルダーバックに財布を入れ、全身鏡の前に立って髪の毛を手ぐしで整える。

それからぱっと振り返り、先輩の元に駆け寄った。

「先輩も行こう?」


腰かけたままの先輩の手を引く。色素の薄い先輩の瞳に私が映る。


雨音が急かすように勢いを増していく。