アイツの溺愛には敵わない


「何言ってんの!?冗談やめてよ」


食べてる時に変なこと言わないで欲しい。


「俺は思ったことを素直に言っただけ」


「そんなの嘘に決まって……」


「嘘じゃないよ。すごく可愛い」


私の反論を遮って返ってきた言葉のトーンは少し低くて、真面目な雰囲気で。


冗談とか、からかったりして言ってるんじゃないっていうのを察した瞬間。


心がむず痒いような、くすぐったいような。


何ともいえない不思議な感覚に襲われた。


「私、そろそろ家に戻るね」


「うん。俺は戸締まりしてから帰るよ」


一人になりたい。


この空間から逃げたくて、足早にリビングに入った私。


アタフタしながらパーカーを脱いだ。


「これ、返すね」


「まだ着ててもいいのに」


「ううん、もう大丈夫。それから、寝てる時にパーカーを掛けてくれてありがとう」


気遣ってくれた優しさに対して何も言わずじまいなのはイヤだから。


ちゃんと伝えておきたかったんだ。