アイツの溺愛には敵わない


薄目で見てる感じは無さそう。


警戒しながら目の前のクッキーを口にくわえると颯己の手が離れる。


一口で食べるとアールグレイの香りが広がった。


「どう?おいしい?」


目を開けた颯己に頷いて返事をする。


生地がホロホロとしていて口溶けがいいし、バターと紅茶の香りのバランスが絶妙。


今まで食べた紅茶クッキーの中で一番美味しいかもしれない。


「はーちゃんって、すごく美味しいものを食べた時、瞬きの回数が増えるよね」


「えっ、そう?」


「うん。俺も食べてみよっと」


颯己はクッキーをつまんで口に放り込んだ。


瞬きが多いなんて、自分じゃ実感なかったな…。


観察眼の鋭さに、ただただ感心してしまった。


「本当だ!おいしいね、このクッキー。もう一個食べる?」


「うん」


さっきと同じように食べさせてもらうと、颯己は微笑ましそうな目で私を見つめる。


「はーちゃんがモグモグしてるところって、ずっと見ていたいぐらい可愛いね」


唐突に飛び出した言葉に、私は思わず噎せそうになってしまった。