アイツの溺愛には敵わない


「新商品の紅茶クッキーとアーモンドクッキー買ってきたんだ。紅茶の方から食べてみよっか」


「うん」


小袋を開けた颯己はクッキーを手に取ると、私の口の前に持ってきた。


「はーちゃん、口開けて?」


「自分で食べられるから平気」


「でも袖から手を出せてないでしょ?食べにくいじゃん」


まあ、そうなんだけども。


颯己に食べさせてもらうっていうのは恥ずかしい。


腕まくりをするためにブカブカのパーカーと格闘する私。


なかなか上手くいかなくて苦戦していると、颯己がフッと笑った。


「別に誰が見てるわけでもないんだから、恥ずかしがらなくてもいいんじゃない?」


「颯己が見てるでしょ」


「俺だけならいいじゃん。赤の他人ならともかく、家族同然の幼なじみなんだから」


「でも……」


「じゃあ、食べる瞬間を見ないように俺が目を閉じるのはどう?」


それなら、あまり恥ずかしくないか…。


「ちゃんと目を閉じてくれるなら」


「了解」


颯己は笑顔で頷くと、すぐに目を閉じた。