アイツの溺愛には敵わない


「実は秋の三者面談の時に偶然聞いちゃったんだよね、進路変更する旨の会話」


「えっ?」


「あの日、帰り道の途中で忘れ物したことに気付いて取りに戻ったんだ。そうしたら、はーちゃんがちょうど面談中で驚いた。当初は別日だったよね?」


「その予定だったんだけど、あの時間に面談が入っていた子のお母さんが急に都合が悪くなっちゃって、前日に面談日を入れ替えたの」


色んな偶然が重なった結果、思わぬ形で颯己に知られちゃったんだな。


「でもその日よりも前から、別の高校に進路を変えようとしてるんじゃないかって、はーちゃんの纏う雰囲気で何となく察知はしてたから、話を聞いた時は“やっぱり”って思った」


「そうだったんだ」


颯己に隠し事は出来ないな、本当に。


「だから、俺もこの高校を受験した。あのまま、はーちゃんと疎遠になるのは絶対に嫌だったから」


ずっと不思議だった。


別々の高校に通うことになるはずだったのに、どうして同じ高校を受けたんだろう。


進路変更がバレないように、友達とか颯己の家族にも秘密にしていたのに…って。


まさか、そういう経緯があったなんて。


颯己の話を聞いた私は、胸がいっぱいになった。