アイツの溺愛には敵わない


「こっちは映結のお弁当ね」


「あっ、ありがとう」


笑顔のお母さんからお弁当を慌てて受けとる。


とりあえず考え事は後回しにして準備してこよう。


一旦、部屋に戻った私はお弁当をバッグに入れてコートを羽織ると、再び颯己の待つ玄関へ。


二人で手を繋いで家を出た。


「今朝は結構寒いね」


曇り空に向かって白い息を吐く颯己。


そうだ、さっきの違和感について聞いてみようかな。


「あの、ちょっと質問なんだけど……」


「どうしたの?」


「颯己、本当は朝が苦手じゃなかったりする?もしかして、誰かが起こさなくても一人で普通に起きられるんじゃない?」


付き合い始めた頃にも過ったことのある疑問。


まさかそんなことは……と思って頭の片隅に放り投げたけど、真相が気になる。


「バレちゃったか」


「えっ、それじゃあ……」


「朝は苦手だけど、目覚まし時計をセットしておけば自分でちゃんと起きられるよ」


やっぱり、そうだったんだ。


「それなら、どうしてそれを隠してたの?」


首を少し傾げる私に、颯己は気まずそうな顔をしながら苦笑した。