アイツの溺愛には敵わない


反則級の笑顔で、そういうことサラリと言うんだから。


いくつ心臓があっても足りない。


落ち着かなくて早足気味に歩いていると、颯己は繋いでいた手を少し強めに握った。


「今年のクリスマスイブは、どこか近場のツリーやイルミネーションを見に行こうよ。終業式が終わったら、そのままデートするのはどう?」


「えっと、あの……うん」


「歯切れ悪いね」


「颯己、無理してない?」


「そんなことないけど、どうして?」


「いつもクリスマスイブって、どちらかの家でパーティーをしてたから、出かけるのは気が進まないかなと思って。それに賑やかな場所って、あまり好きじゃないでしょ?」


めちゃくちゃ苦手っていう印象もないけれど、静かな場所の方が好きな気がする。


昔から、夏祭りや初詣みたいなたくさんの人で賑わっているスポットに行くと、出来るだけ人が少ない所に移動していたし。


「賑やかな場所がダメっていうよりは、そういう場所に行くと気が気じゃなくなるから、なるべく避けたいだけ」


「えっ?」


首を傾げると、颯己は照れくさそうな顔で視線を逸らした。