アイツの溺愛には敵わない


「あ!待ち合わせしてる奴らが到着したみたいだから、俺は改札口の方に行ってみるよ」


吉田くんの顔がパッと明るくなる。


“じゃあね”と私たちに手を振ると、足早に去っていってしまった。


「……逃げたな」


不満そうに呟く颯己。


やれやれ…と言わんばかりの呆れ顔で私の隣に腰を下ろした。


「吉田くんのこと、そんなに怒らないでね。颯己の話をしてほしいってお願いしたのは私の方だから」


「えっ?」


目を見開く颯己に経緯を説明する。


話を聞き終わった彼は苦笑いを浮かべた。


「あの時の俺、不自然に話を逸らしたもんね。その後、はーちゃんが不思議そうな顔をしてたから、続きが気になってるんだろうなと思ってた」


私が違和感を抱いていたこと、気付いてたんだ。


「自分から打ち明けようとも思ったんだけど、恥ずかしさと幻滅されるかもっていう恐怖があって言い出せなかった」


「そうだったんだ。でもね、幻滅なんかしてないよ」


本当に?と訴えるような瞳を見つめながら、私は笑顔で頷いた。