アイツの溺愛には敵わない


にわかには信じがたい。


そもそも颯己って、男子に対して牽制なんかしてた?


私と一緒に居る時は、いつも楽しくお喋りしているようにしか見えなかったけど。


「普段の牽制を無視して、告白とか遊び目的で琴宮さんに声を掛けようとしていた強者の男子たちには陰で直接警告してたなぁ」


「それ、本当の話……?」


「もちろん。そういう時の殺気を滲ませた黒いオーラ全開の真浦は、めちゃくちゃ怖かった」


吉田くんが真面目なトーンで言うぐらいだから、相当な恐怖を感じたんだろう。


私には想像もつかないけど。


「それだけ琴宮さんのことが大切な存在だったんだよ。あの頃も今もずっと」


なんか凄いエピソードを聞いちゃった。


小さい頃から傍で颯己を見てきたけど、まだまだ知らない一面ってあるんだな。


「今の話を俺から聞いたこと、真浦には内緒にしといてね」


「うん」


口元に人差し指をあてる吉田くんに頷いた時だった。


「誰に内緒だって?」


背後から聞こえてきた声にビクッと肩が上がる。


振り向くと、腕を組んで不機嫌そうな顔をしながら吉田くんを見下ろす颯己の姿が目に映った。