アイツの溺愛には敵わない


「それはそうと、吉田くんは買い物?」


「ううん、これから友達とカラオケ。集合場所がここの駅前なんだけど、少し早く来すぎちゃって。だから、この周辺をブラブラしようかなと思ってたところ」


「そうなんだ」


「でも特に行きたい店もないし、俺もここで待とうかな。隣、座ってもいい?」


「もちろん。どうぞどうぞ」


立ちっぱなしで待つのは疲れるもんね。


吉田くんは静かに座ると、ジーンズのポケットからスマホを取り出して画面に視線を落とした。


そうだ……。


せっかく吉田くんに会えたし、気になっていたことを聞くチャンスなのでは…?


「あの、吉田くん」


「何?」


「少し前に会った時のことで聞きたいことがあるんだけど……」


「それって、琴宮さんと卒業式以来の再会をした時?」


「うん!あの時、颯己が吉田くんの話を途中で別の話題に変えちゃって。そのあとに何を言おうとしていたのか気になってたんだ」


“お前はいつだって琴宮さんの……”


あの言葉の続きを、次に吉田くんに会ったら聞こうと思ってたんだよね。