アイツの溺愛には敵わない


今、名前を呼ばれたような……。


ハッとして顔を上げると、目の前に吉田くんが立っていた。


「こ、こんにちは」


「髪切ったんだね。雰囲気が少し変わったから、一瞬…別人かと思った」


「さっきカットしてきたばかりなんだ。変……かな?」


「いや、全然。前の髪型も似合ってたけど、短いのも可愛いと思うよ!」


「本当?ありがとう」


可愛いっていわれるのは照れくさいけど、そんな風に言ってもらえるのは素直に嬉しい。


「そう言えば、今日は琴宮さん一人なの?真浦はついてこなかったんだね」


吉田くんも綾芽ちゃんと同じようなこと聞いてる。


いつも颯己が傍にいるのは事実だから、疑問に思うのも無理ないか。


「カットが終わるまで他の場所で時間を潰して貰ってたんだ。さっき連絡したばかりだから、颯己が来るまでここで待っていようと思って」


「ああ、そういうことか。真浦が大好きな琴宮さんを一人で美容院に行かせるわけないもんね」


頷きながら納得する吉田くんに、思わず苦笑いしてしまった。